伊豆沼の温泉計画:掘削せず期限切れへ 着手しても完了困難/宮城 ◇土地所有者「やめた」 ラムサール条約登録湿地の伊豆沼(登米、栗原両市)近くの温泉掘削を県が06年に許可した問題で、実際には掘削工事が行われないまま、今月23日の許可期限切れを迎えようとしている。温泉法は期限内に掘削を完了させることを定めており、工事着手しても完了まで最短数カ月程度はかかるとされるのに対し、2月末時点で工事は始まっていない。許可を受けた土地所有者の男性は、知人に「(工事は)やめた」と話しているという。【青木純】 温泉掘削の許可申請は05年12月に男性から出され、県は06年3月に「環境への影響に配慮してほしい」との意見を付けて許可した。男性は、伊豆沼から十数メートルの掘削予定地に温泉付き民宿を建設し、排水は浄化槽を通して伊豆沼に流す計画を立てていたが、地元の環境団体などは「沼の生態系に悪影響を及ぼす可能性が高い」と反対運動を続けていた。 温泉法が定める掘削許可の有効期間は2年間で、期限内に工事を終わらせ、湧出(ゆうしゅつ)を県に認定してもらう必要がある。全国で温泉掘削工事を手掛け、亘理町で工事を行ったこともある「中由商会」(新潟県南魚沼市)によると「高さ数十メートルのやぐらを組む時間なども含めると、掘削には最低でも3カ月程度はかかる。今から着手しても、3月中に終わらせることは非常に難しい」と指摘。県薬務課も「着手の連絡はまだなく、必要期間を考えれば、工事はほぼ不可能では」とみている。 伊豆沼を正面に見渡す男性の所有地には、「温泉掘削予定地」と書かれた看板とともに「売地」の看板も立つ。近くの男性は「(申請者の男性は)『反対されているし、排水の浄化設備を作るのにかなりのお金がかかるので、工事はやめるつもり』と話していた。売ってくれという話も数件あったらしいが、個人には売れないと断ったらしい」と話した。 反対運動を行ってきた「伊豆沼・内沼を温泉排水から守る会」の呉地正行代表は「基本的には、期限が切れるまで見守っていきたい」としたうえで、「今回の件を教訓に、登録湿地の環境を変えかねない開発は認めない、という社会になっていけば」と話している。 県薬務課によると、許可の期限が切れた場合でも、再度許可申請を出すことは可能。ただ掘削工事で温泉が湧出しても、利用するには水質汚濁防止法など関係法令に則した措置を取る必要があるという。 3月1日朝刊 +Yahoo!ニュース-宮城-毎日新聞 投稿ナビゲーション 特定外来生物が各地で食べられているのはなぜ?シンポジウム:淀川のイタセンパラ守れ、絶滅防ぐ方策を探る/大阪